イエづくりって、建ててみないと分からないことが多いですよね。
そもそも、建てる前に実際のおウチを見ることはできません。
もちろん、モデルルームがあればそれに近いものを見ることはできますが、それもハウスメーカーなどモデルルームがある会社さんでイエづくりをする際に限られてしまいます。
それに、もしモデルルームやオープンハウスを見れたとしても「実際に自分が住む場所で、どんなおウチができるのか」を見れることはほとんど無いのではないでしょうか?
今回はそんな不可能を可能にする、ある取り組みをされている那覇市の設計事務所「株式会社都市建築設計」さんにインタビュー。
イエを建てる前から設計内容を見える化する取り組みからは、その便利さだけでなくこれからイエを建てる人に対する思いやり、そしてなによりその設計をする社員さんたちのことを想った「未来を考えた社内の取り組み」までもが垣間見えました。

都市建築設計って、どんなことをやっている設計事務所なんですか?

ー 早速ですが、まずは都市建築設計さんってどんな設計事務所なのか、教えてください!
下地さん:
公共7割、民間3割ぐらいのバランスで建築の設計を手掛けています。民間は個人住宅からマンション、それからホテル関係と多岐に渡ります。
建築の設計だけではなく、既存の家の調査、建物の劣化具合などの調査業務もやっていますね。
ー 民間でいうと、都市建築設計さんの場合はどういったお客様が多いですか?設計事務所さんへの勝手なイメージなのですが、理想のおウチを求めて費用を気にしないで来られる方が多いのかと。
下地さん:
これはマチマチで、限られた予算の中でやってほしい方や、「予算はあるから好きにやってくれ」という方など、色んな注文がありますね。
今、それを担当しているのが山城さんなんです。

山城さん:
お施主さんごとに好みやこだわりがあると思うので、まずはそれをヒアリングするようにしています。
それを僕らが資料やデザインを探して具現化して、「こういうイメージでどうでしょうか?」と提案して、「ここはもうちょっとこうしたい」という要望に答えていく。
建築やインテリア的に難しいお施主さんからの提案があれば「ここはこうした方が良いんじゃないですか?」というアドバイスもします。
図面化したり3D化することで、お施主さんの希望を統一感のあるキレイな方向に持っていくのが僕らの仕事だと思っています。
ただ言われたものをやるだけでなく、ちゃんと検討してから提案することを意識して、「お施主さんと一緒に作っていく」感じですね。
編集部
プロの方にプロ目線で提案してもらえると、より良いイエづくりができそうですね!
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本部町の宿泊施設「ゲストハウスカルスト」ってなに?

ちなみに、いまインタビューをしているこの建物。
こちらは都市建築設計さんが設計した「ゲストハウスカルスト」という宿泊施設なんです!
社内の保養施設や研修施設としても使われているこの建物を、今回は特別にその中も案内してもらいました。

ー 設計で難しかったところはありますか?
下地さん:
難しかったのは、柱をなくすところですね。
この建物はRC造で、横幅が10mあるので、普通だったら窓の真ん中あたりにコンクリートの柱が立っているべきなんです。
でも、この建物は真ん中の柱をなくして隅の柱4つで建っているんです。
ー それは結構、異常なことですか?
下地さん:
異常なことです。他ではほとんど無いですね。
他にも、RC造だと普通は窓などを取り付けるのに木材の内枠を使うんですけど、それもなくして。
巾木などもなくしてどこまでコスト削減できるか挑戦したりもしました。

上原さん:
普通はコンクリート剥き出しだと「梁型」という天井からせりだしている梁の一部が見えるんですけど、それも見えないんです。
下地さん:
通常の構造は中身を出来るだけ密集させているので薄くすることができるのですが、中に空洞を設けることで重さは一緒でも厚みが変わってきます。
空洞がある分軽くなるので、柱4本でも成り立つんですね。
山城さん:
イメージとしては、ワッフルみたいな感じですね。

音が響きやすいコンクリートでも静かに。

トップレールがない手すりを採用。


室内にも同じ素材がタイルの形に
カットして使われています。
主に会社で使う建物ということで、様々なコストカットの方法を試す「やってみたいことの実験場」にもしたそう。

ー どんな経緯でこのゲストハウスができたんですか?ここに建てようと思ったキッカケが聞きたいです。
三嶋さん:
そもそもウチの社長が、こういう「社員も一緒に楽しめる保養所を建てたい」という強い想いがあったんですよ。
じゃあどこに建てようかということでたくさん土地を見て回ったらしいんですけど、なかなか社長がヨシと思う土地が無かったらしいんですね。
でも、ここに来たときにビビビッと来たみたいなんです。
社長についている神様がここにしなさいというインスピレーションだけで選んだのだそうです。

晴れた日には本部の海と山が一望できるんだそう。
上原さん:
僕はこの土地には反対だったんです。傾斜地で設計がとても難しいので。
ここにするって社長から聞いたときには「ここですかぁ〜!!!」ってなりました。
ー このゲストハウスができて、社内で変わったことってありますか?
山城さん:
ここから2,30分の古宇利島の方で現場をやっていたときに、会社が那覇なので戻って図面を描いていると面倒くさいので、ここでひとりでずーっと仕事していましたね。
静かなので快適でした……

ー 理想的な働き方ですね!事務所だと書類がいっぱいあって散らかっていたりしますし、キレイで静かなところでやると気分も違って息抜きにもなりますよね。
山城さん:
なにより、電話がかかってこないんですよね……笑
下地さん:
それがいちばん!
ちなみに、このゲストハウスは「BIM(ビム)」を使って設計したんですよ。
編集部
なるほどなるほど!
ん?BIMってなんだ……?
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イエの中身が建てる前に分かる!?「BIM」って一体なに?

ー その「BIM(ビム)」って、どういうものなんですか……?
三嶋さん:
BIM(Building Information Modeling)は、3Dを利用した設計ツールのことです。
従来の図面のように線を引くだけではなくて……
まるで線を引くように平面の図面をコンピューター上で操作すると、その裏では壁だったり柱だったりスラブだったり、3Dが積み木を重ねるようにできあがるツールなんです。
同時にパースも作れるので、凄く仕事が早くなりますね。

三嶋さん:
このように建物の中まで3Dで見れるので、建築の知識が無い方でもすぐにどんな設計なのかが分かるんです!
設計士さんたちっていうのはついつい専門用語を使ってしまいがちですし、寸法とかも細かく言ってしまうので、知識が無いと「それが自分の背丈と比べてどれくらいなのか」すらも分かりづらいんですよね。
3D化することで「だいたい腰のあたりにニッチ壁が来ますよ」「玄関入るとこんな感じですよ」というのを見せてあげられるので、
「じゃああんなにしてこんなにして……」とどんどん話が膨らんで、現実的な設計ができるんです。

ー これをおウチ建てる前に見れるってめちゃめちゃ凄いですね!施主さんとしても、イメージがだいぶ湧きますよね。
三嶋さん:
メーカーさんもBIM対応の製品を出しているので、ソフト上でその建材の色や形をリアルに作れるんですよ。
明るい色にしたらどうなるか、ブラウン系にしたらどうなるかを比較して見せることもできます。

ー これって、スマホでも見れたりしますか……?
三嶋さん:
見れますよ!BIMx(ビムエックス)っていう無料のアプリがあるんですけど、これをダウンロードしてもらえば、スマホやタブレットでどこでも設計の内容を見ることができます。
リビングで寝っ転がりながら、スマホで見たり。もちろんアプリからでも、家の中まで見ることができます。

ー ちなみに、BIMを導入されたのはいつ頃からですか?導入する前後で、業務内容の効率やお客様の反応で変わったところはありましたか?
下地さん:
そりゃもう全然違いますよね。導入して9年になるんですけど、やっぱりこれができるようになって、当然図面を作り上げるスピードが早くなったし、なによりもお施主さんとの合意形成がスムーズになりました。

三嶋さん:
社内勉強会も開催しているんですよ。
ひとりだとつまづいたときに前に進めなくて「じゃあやめた、やっぱり二次元で描こう」と、後戻りしてしまうキッカケを与えてしまうんですね。
そういうことがあってもちゃんと聞ける人がいて質問ができる環境を作るために、社内勉強会などの仕組みを試みています。
編集部
社員の皆さんで情報を共有したりして、分からないところがあったらそれをしっかり教えたり教わったりという形で、技術をお互いに高めているんですね!
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「社員を想う」から、良い仕事ができる。都市建築設計の働き方に対する取り組みとは?

ー 次は社内での取り組みについてお伺いしていきます。
会社に「社員食堂」があるとお伺いしたのですが、導入したキッカケはありますか?
下地さん:
令和2年に今の本社が作られたんですけど、旧社屋が高校が近くて学生向けの弁当屋さんがあったんですよ。
ウチの社員もよくそこに買いに行っていたんですけど、その弁当が揚げ物ばっかりとかそういう中身で。
社員がその弁当を食べてる様子を社長が見て「こんな健康に悪い食事、ダメだ」と。
それがキッカケで、社員の健康を大事にしたいという想いで新社屋には社員食堂を作ったんです。

下地さん:
一時期、社員食堂のコックさんがある事情で退職なさったんですね。
それで次のコックさんが来るまでの間、2週間ぐらいコックさんがいない状態があったんですよ。
なんとですね、その間は社長が毎日料理を作って。
三嶋さん:
うちのブログにも載っています、エプロンして帽子被って。
ーえ、ウチにも社員食堂欲しいですね。社長に料理も作ってもらいたい。
ちなみに、好きなメニューってありますか?
下地さん:
カレーは毎日あるんですけど、僕はやっぱりカレーが好きですね。昔懐かしい黄色いカレーです。
ー メニューは日替わりなんですか?
下地さん:
そうですね、決まってるメニューはサラダとカレーです。このサラダも社長のこだわりで「毎日野菜を食べるようにしなさい」ということで食べたい分だけ山盛りにできるようになってます。

上原さん:
僕は営業業界でよく集まるんだけど、沖縄の設計事務所でここまでやっているのは一切無いですね。みんな「いいないいな」ばっかり言います。
山城さん:
たぶん設計事務所ってピリピリしているところが多いんじゃないかなと思うんですけど、ウチはほんわかしてますよね。
みんな家族みたいで仲良いし。
ー 社長さんがすごい魅力的な方なんですね!保養施設にしても社員食堂にしても「社員の皆さんが働きやすい環境」を考えてくれているのが素晴らしすぎます……
三嶋さん:
たぶん、会社の人はみんな社長のことが好きだと思います。
編集部
みんなほんわかしてて、家族みたいに仲が良くて、それでみんな社長のことが好き。
そんな会社ってたぶん全然無いんじゃないですか!?

ー 社員食堂の他に「スタンディングデスク」も導入されていると思うんですけど、これも取り入れているところは少ないですよね?
上原さん:
ほとんど、どこの事務所もやっていないです。
以前は普通の机だったんですけど、あるお施主さんが立って作業しているのを社長が見て。
「ずっと座っていると健康に悪いから」という社長からの提案で、導入しました。
三嶋さん:
高さを変えるのが割と手軽なんですよ。ボタンがあって触るだけでウィーンって自動で高さを上げ下げできるので。
ー こういう新しいことを取り入れていらっしゃるので、社内に若い人も多いんじゃないですか?
上原さん:
以前は中途採用が多かったんですけど、新卒向けの企業説明会でBIMをアピールしたら、バンバン若い人が来るようになりましたね。
建築学科以外のWebやゲームのデザインを選考した社員の採用も行いましたよ。
ー えぇ〜!色んな人材がいると、会社としての幅や魅力が増しますね。

三嶋さん:
他所と比べても若い子がこんないっぱいいるところはないんじゃないですかね。それに、女性率も高いんです。
上原さん:
今年でそろそろ男女比が半々ぐらいになるんじゃない?
ー 50%ってだいぶ高いですよね。
下地さん:
あとは、在宅でできる業務に関してはコロナ前から在宅を推奨しているんです。三嶋さんがその第一号で、1年半ぐらい在宅でやっています。
三嶋さん:
女性が多いっていうのはあるかもしれないですね。子育てをする人や介護をする人は、おうちで仕事ができるように、どんな環境でもできるようにしないといけない。
こういう取り組みも社長が取り入れてやっています。
そう思うと、凄い良い会社だなって思えてきた。
編集部
いや、ないと思います!こんなに社員のことを想って動かれている会社さんは……

ー ちなみに、他にも取り組まれていることってありますか?
下地さん:
沖縄の持続可能な活動に貢献できるよう「おきなわSDGsパートナー」を取得してますね。
あとは公共のお仕事も多いので、ISO認証やISMSといった品質やセキュリティに関する公的な認証も取得したり、これから取得できるように動いているところです。
やはりBIMを取り入れていることがそういった認証の取得に大きく貢献していますね。
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さいごに

ー さいごに、都市建築設計さんを一言で表現すると……?
三嶋さん:
社長が「ご縁」という言葉が大好きなんですよ。
違うところから来たのに、こうやって入社して知り合って、同じところで働いて。
それは「縁」だから。例えどんなに嫌いだったとしても、このご縁を大切にしなさいって、よくおっしゃるんですよ。
下地さん:
縁という言葉はよく聞きますね。縁で私も来たんですよ。
上原さん:
僕もそうです。
三嶋さん:
結構みんな普通の入社じゃなくて、面白いご縁で来てる人が多いんですよ。
下地さん:
だから一言で言うと「ご縁のある会社」っていうところかなぁ!
BIMを使った「誰でも分かる設計」にどこよりも取り組んでいる都市建築設計さん。
その背景には、社員を想う社長さんの様々な取り組みが隠されていました。
せっかくのイエづくりを依頼するなら、やっぱり人に優しい会社さんが良い。
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