まるでモデルルームな設計事務所を拝見!ここなら気軽に相談できそうだ……

設計事務所って、なんだか怖そう……
少しお話を聞いてみたいけど、訪問するのも気が引ける……
数々のイエづくり企業と協力してきたイエキメル編集部ですが、そんな私達でさえも未だにそう思ってしまうことはあります。
たしかに、ちょっとおカタイ雰囲気だし、そもそもどうやって問い合わせれば良いのかも分からないですよね……
そんなイメージを払拭してくれたのが、宜野湾市野嵩の「謝名堂建築設計事務所」さん。
「シンプルな空間が好きなんです。」と穏やかに語る代表の謝名堂愁さんの言葉通り、自ら所有されるアパートの一室を利用した事務所はまるでショールーム!
シンプルかつミニマル。清潔感と開放感が溢れる空間には、謝名堂さんがイエづくりに対して込める「自由さ」が秘められていました。

謝名堂建築設計事務所さんの事務所をルームツアー!

ハウスメーカーなどでイエづくりをする場合、モデルハウスやショールームに行くことも多いですよね。
しかし、建物の設計を主にしている設計事務所の場合、気軽に見学できるものが無いこともあります。
謝名堂さんの事務所に入ると、そんなイメージを覆すような空間が……!
せっかくなので、ルームツアーをさせていただきました◎


ー 入ってすぐに目に入ったんですが、このブロックの壁はどうやって作ったんですか?
謝名堂さん:
ブロックを積み上げているのですが、ただ真っ直ぐ積み上げても面白くないので、半分ずつズラして積み上げています。
最初の図面では今よりも2段低かったんですが、実際に作ってみたら思ったよりも低くて。
壁の向こうまで視界が広がっていたので、追加で積んでもらいました。上のガラスも予定にはなかったけど、思ったよりも音が響いていたので追加しました。
ブロック屋さんは嫌がってました。笑


ー このコンクリートの箱のような空間は一体どうやって……?
謝名堂さん:
これをコンクリートで作るのは難しいんですけど、どうしてもコンクリートの風合いを出したかったんです。
葦ベニヤというザラザラとした木材を張って、その上から左官でモルタルを塗ると落ちないよ、と業者さんからアドバイスをいただいて、コンクリートが浮いているような空間を作れました。
これは壁から鉄骨で支えているので、下は柱を入れずフルオープンの空間にできました。


ー この宙に浮いたような階段はどうやって支えているんですか!?
謝名堂さん:
これは木で出来ているんですけど、中は全部鉄骨になっていて。4つの足場が全て壁の中の鉄骨に繋がっていて支えられていて、鉄骨の上から木を巻いているんです。
壁も階段の手前まではコンクリート打ちっ放しですが、片持ち階段のところだけは鉄骨のフレームを隠すためにボードを張っているんです。
色や質感を塗装でコンクリートに合わせています。


ー 床もシンプルで素敵ですね! こちらも何かこだわりが?
謝名堂さん:
床はコンクリートそのままです。単純に自分が無機質な空間が好きっていうのもありますが……
あとはコストですね。お金を掛けないでやるにはどうするかということを考えたときに、床は仕上げないでいいんじゃないかという考えがあったので。
飽きたらこの上からシートを張ったり木材を敷いたりできるので、リフォームもしやすいように今はとりあえずこれでやっています。


ー ブロック壁の向こう側は……?
謝名堂さん:
こちらは木材をふんだんに取り入れて、床には杉材を、扉も木材を使っています。木の家具も家具屋さんと製作したものです。
打ち合わせしながらお客さんに家具の製作もできるよ、という提案ができるようなスペースになればいいのかなと思っています。
家具も常時入れ替えはしていきたいですね。


ー 照明にも工夫したところはあったりしますか?
謝名堂さん:
照明はほんとにシンプルに、廊下部分とかはダウンライトで、他はライティングレールでやっています。
今後は配置換えなどもすると思うので、今は仕切りを一切設けずに棚でそれぞれ仕切ってるだけにして、配置換えにある程度対応できるように、ライティングレールをたくさん入れてどこでも照らせるようにしています。
シンプルが好きなので、極力シンプルにしている感じです。


ー 空間のヌケ感も良いですね! 視覚的な効果も考えて設計されているんですか?
謝名堂さん:
最初は壁も天井も全部コンクリートのまんまの予定だったんですけど、これも現場で、やっぱり全部コンクリート調にしちゃうと少し重たくなるかな、というのがあったので、急遽壁と天井は塗装してもらったっていう感じですね。
自分の建物なので、現場をお願いして止めてもらってっていう試行錯誤の繰り返しは結構ありました。笑
謝名堂建築設計事務所のこだわりをインタビュー!

建築家が普段どんなことを考えながら設計をしているのか、気になりませんか?
ここからは、謝名堂さんがイエづくりに対して持っているこだわりをお伺いしていきます!
ー この建物(謝名堂さんの事務所が入るアパート)を所有するに至ったキッカケは……?
謝名堂さん:
元々義父がこの土地を持っていて。自分の事務所と自宅を作りたいなという考えがあったので、土地を半分ずつに分けて使わせてもらおうと計画をしてたんですけど……
この敷地の形状上、それでやるとどうしても建築基準法に引っ掛かることがたくさんあって。
それだったらもう土地を半分に分けずに、敷地いっぱいにアパートも兼用で建物を作ったら良いんじゃないかってことになったんです。
それで4階建てのアパートを建てて、その中に自宅と事務所も作りました。
その際に、義理の妹も独立して美容室を開業したいと話があったので、アパートの1階はヘアーサロンになっています。
ー 普段、どんな設計を心掛けているんですか?
謝名堂さん:
施主さんのやりたい設計をまず第一に考えながらヒアリングをしています。
コンクリートが好きだったらそこを活かせるように、逆に木に囲まれたおウチが好きという方にはそういう空間を提案しています。
コスト面で全部が全部良い材料は使えないので、施主さんの希望の中で使う材料を工夫しながら、喜んでもらえるように設計しています。
ー たしかに、こだわりのあるおウチにしようと思うと費用がかさみがちですよね。どんなところでコストを抑えるんですか?
謝名堂さん:
値段が高いコンクリートなどの量をどれだけ減らせるか、ですね。部分によってはブロックを使ったりして、バランスを取りながらコストを検討していますね。
ー 得意なデザインや設計があれば教えてください!
謝名堂さん:
「ワンフロアだけど段差がある空間」を今は積極的にやっていて、良い感じにできているのかなと思っています。笑
謝名堂建築設計事務所からのアドバイス

ー 若いファミリーにオススメの施工内容はありますか?
謝名堂さん:
依頼主がどういう生活スタイルかにも寄るんですけど、うちとしては子ども部屋などをそんなに大きく取らない間取りをオススメしています。
個室が小さければそんなに長居もしなくなって「部屋よりリビングが良い」ってなれば、そこで家族の時間が出来るので。
どちらかと言うと、個室的なスペースはあまり勧めていないですね。
ー ご自身で自宅を設計していらっしゃいますが、「やってよかった」ことはありますか?
謝名堂さん:
対面キッチンの横に造り付けたカウンターテーブルですね。
キッチンの高さを下げることで、カウンターに座るときはフローリングをベンチ代わりにできるような作りにしたんですけど、これがもう凄い良くて。
嫁さんがご飯を作ってるときに、自分たちはその横に座って子どもと遊んだりできるんです。
リビングはソファよりもダイニングにいることが多いので、この作りはかなり良かったですね。
ー 逆に「これは良くなかったな」という施工や、そこから得られた改善点はありますか?
謝名堂さん:
設備関係はもうちょっと細かく調整しとけば良かったなというのはあります。
ベランダの散水栓は水だけじゃなくお湯も出るようにしたら良かったなとか、もうひとつ散水栓が欲しかったよねとか、換気扇はこっちにも入れた方が良かったなとか。
それを今後お客さんにお見せしながら「ここはこうしたら良いよ」という説明が出来るかなと思いますね。
さいごに:設計事務所へ相談してみよう

「この場所なら、この人なら、相談しやすいなぁ」
そう思わせる優しさと魅力が謝名堂建築設計事務所さんにはありました。
シンプルだけどこだわりのあるイエづくりがしたい。家族みんなでゆったりと暮らせる開放感のあるイエをつくりたい。
そんな方は一度、謝名堂建築設計事務所さんを訪れてみてはいかがでしょうか?
謝名堂愁 一級建築士
ー1984年 沖縄生まれ
ー2007年 オリジナル建築設計室入社
ー2015年 オリジナル建築設計室代表就任
ー2021年 株式会社謝名堂建築設計事務所に社名変更
株式会社 謝名堂建築設計事務所
〒901-2203 沖縄県宜野湾市野嵩2-24-22-201
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TEXT・PHOTO・EDIT BY 仙石雄大(イエキメル編集部)