コラム

【元々は木造文化だった?】沖縄のイエづくりで「木造」って、本当に大丈夫?

イエキメル編集部

「沖縄でマイホームを建てるなら、やっぱりRC造が良いのかな……?それとも、最近増えてる木造住宅?でも、沖縄で木造って、本当に大丈夫なのかな……」

そんな悩みを抱えている方の為に、今回は「沖縄のイエづくりではRC造と木造、どちらが良いのか?」を徹底比較していきます!

この記事では比較だけでなく、RC造と木造のそれぞれの特徴、沖縄における木造住宅の歴史や機能性についてもご紹介しています。それを元に、ご自身に合った選択をしていただけたら幸いです◎

沖縄と全国のRC造住宅と木造住宅の割合の違いは?

出典:国土交通省「建築着工統計調査報告 時系列一覧」をもとに著者作成

まずはこちらのデータをご覧ください。これは沖縄県と全国の住宅における「RC造と木造の割合」を比較したグラフです。ご覧の通り、沖縄は全国に比べて圧倒的にRC造が多いことが分かります。

RC造が9割以上と驚異的な数値ですが、実はこれでも木造住宅の割合は年々上昇傾向にあり、これからさらに増えていくと言われております。

沖縄は元々「木造文化」だった?

元々、沖縄の住宅は木造がメインでした。1900年代前半までは「赤瓦を乗せた、シーサーが目立つ木造の家」が主流で、現在とはまるで真逆のイエづくりだったんですね。

田舎の地域では、今でも当時建築された古民家が残っています。全く見た目が異なる造りのため、珍しい建物として周りから崇められていることも……

それから100年近く経過した現在では、ほとんどがRC造の住宅に。一体なぜ?その理由には、実は大きな社会的背景が関わっているんです。

沖縄でRC住宅がここまで増えた理由は?

なぜここまでRC造住宅が増えたのでしょうか?その理由は、大きく分けて3つあります。

1. 第二次世界大戦による材料の不足

沖縄が壊滅的な被害を受けた第二次世界大戦による戦火によって、木造住宅だけでなく「その材料となる山林が消失」してしまいました。

そのせいで建築に必要な材料の確保が難しくなったので、RC住宅への需要が高まったと言われています。

2. 米軍による簡易的な木造住宅の普及

その後、戦火によって住まいを失った県民の方へ、米軍による住宅の無償提供が始まりました。それが2×4(ツーバイフォー)と言われる角材を骨組みとして、そこにパネルを貼り付けしていく木造建築工法にて建築された規格家(キカクヤー)と呼ばれる住宅でした。

この規格家は戦後の住宅不足には一役買いましたが、材料自体の質が良くないことから、沖縄の気候には適しない住宅だったそう。

3. 大型台風を見越した対策

その規格家(キカクヤー)はとても簡単な造りだったため、大型の台風が来た際には簡単に吹き飛ばされてしまうほどの耐久性でした。

これに追い討ちをかけたのが、1949年に到来した大型台風グロリア。この台風で、沖縄諸島の住宅の約3万戸が全半壊、公共建物555棟が全壊するなど、戦後最大の災害となりました。

以上の3つの理由から、沖縄では「木造住宅は台風に弱い」というイメージが定着し、RC造住宅が普及したと言われております。そのため、年配の方の木造住宅の信用度は低く、かなり反対されるケースも少なくないのだとか。

https://iekimeru.com/home/tinyhouse_interview/

RC造と木造の特徴の違いって?

このような理由で沖縄で増えていったRC造住宅。しかし、実際はRC造と木造ではどんな違いがあるのでしょうか?

今回は数あるメリット・デメリットの中でも「特に気になるであろうポイント3つ」を詳しく解説していきます!

1. 初期費用の違い

一般的に、木造住宅はRC造住宅に比べて初期費用がグッと抑えることができるのが大きな特徴です!

しかし、沖縄県は本島からは海で離れた島国…… 県外からの輸送費をどうしても無視できません。そのため、県外の木造住宅に比べるとは価格は高いのが現状です。

ただし、同じ理由でRC造住宅も県外と比べると割高なので、材料費を抑えることができれば沖縄でも低コストで木造住宅を建てられるんです。

2. 耐震性・耐久性の違い

そもそも使っている材料が違うため、木造住宅はRC造住宅に比べるとどうしても耐震性や耐久性は劣ります。しかし、先程ご紹介した古民家が現在でも残っているように、「木造そのものが台風に弱いわけではない」んです。

近年は木造住宅の耐久性も以前と比べて進化していて、実際に沖縄県内でも木造住宅率が増加。大型の台風もしっかりと乗り切っています。

新しい木造住宅の例として、Panasonicが発売しているテクノストラクチャーの家があります。木造と鉄骨を混ぜ合わせたかなり新しいカタチの木造住宅です。

このような新しい木造住宅を沖縄でも取り扱っている会社はたくさんあります。「木造住宅でも台風に強いイエづくりはできる」と認識した上で、より耐久性の高いRC造と比較していくことが大切になりそうですね。

3. 間取りの自由度の違い

木造住宅の大きなメリットのひとつが「間取りを自由に、細かく作れる」こと。

ロフトを作ったり、室内窓を作ったり、隙間の空間に書斎や遊び場を作ったり。

一方でRC造住宅の場合、木造住宅同様に自由な間取りを作ることも可能ではありますが、技術や費用が必要になってきます。

細かなデザインにこだわったイエを作りたい場合、木造住宅の方がコスパが良くなりやすいです。

沖縄ではどれくらい木造住宅が建ってるの?

出典:国土交通省「建築着工統計調査報告 時系列一覧」をもとに著者作成

これまでご紹介した内容で、意外と木造住宅で問題ないということが分かったのではないでしょうか?

しかし、「まだまだ木造住宅は少ないし、やっぱり不安。」という方もいらっしゃることかと思います。そこで、「沖縄でどのくらい木造住宅が販売されているのか?」をご紹介します。

上のグラフは沖縄県における年間着工戸数を表したグラフです。ご覧の通り、2011年からたった10年間で木造住宅の着工数が約3倍に膨れ上がっているんです!

もちろん、土地価格や材料費の向上でRC造住宅が建てられないという状況もあると思います。現にRC造住宅の着工数は約20%も減少しています。

ですが、木造住宅の認知が少しずつ広がっており、同時に技術的な問題などが解決された結果でもある、と言えるのではないでしょうか?

まとめ:沖縄の木造住宅はこれから増えるの?

また、沖縄ではこれからも木造住宅が増えていくと言われています。

既に多くの人が木造住宅でイエづくりをしていて、これからもたくさんの人が木造でイエを建てる。

多くの人が木造を選んでいるという事実を知ることで、木造住宅を安心してマイホームの選択肢のひとつに入れられますね◎

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